マーケット拡大を推進するなかで、
共有在庫との連携にも期待
デーヴィージャパン株式会社
厳しい輸入規制のある国々に中古車を送り出すデーヴィージャパンは、
丁寧な対策を実行しつつ、現在はマーケットを拡大中。
共有在庫との連携も計画されています。
▼目次
1 . オーストラリアから名古屋、そして福岡へ
ニュージーランドやオーストラリアをメインに、中古車輸出を手掛けるデーヴィージャパン。代表取締役のデーヴィー パトリックさんは、オーストラリア出身です。メルボルンの高校を卒業後、パースにあるトヨタの販売会社で約1年勤務。大学進学前の一時期の仕事のはずでしたが、人との出会いがパトリックさんの人生のベクトルを少しずらし始めました。
「トヨタ勤務で知り合ったゴルフ仲間に、息子さんが日本で貿易会社を営んでいる方がいたんです。信頼できる社員を探しているということで、話がトントン拍子に進み、1カ月後にはワーキング・ホリデー・ビザで名古屋にあるその会社に就職していました」とパトリックさんは笑いますが、その行動力には圧倒されます。
その会社で中古車輸出に携わり、2002年に福岡の地で創業し、08年に法人化。実は名古屋で仕事をしていた頃に福岡出張が多く、そこで奥様との出会いがあり創業の地を福岡にしたというすてきなエピソードも教えてくれました。
しかし08年といえばリーマンショックのタイミング。円高が進行し、輸出業は大変だったといいます。「その年はなんと163円プラスという決算、この時が一番苦しかった」とパトリックさん。
しかしその後は業績も右肩上がり。現在では国内社員22名、車両の検査会社や海外のグループ会社等を含めると約100名のスタッフを擁するところまで
成長、近年は月間輸出台数が500台を超えることも。ちなみに国内社員の国籍も、アメリカ、スリランカ、インド、スコットランド、ミャンマーなど実に多彩です。
2 . 品質管理を徹底し お客様から信頼される企業に
主となるニュージーランドやオーストラリアへの中古車輸出には、特殊な面もあるといいます。
「両国は生物の固有種が多いこともあり、生物多様性に敏感です。厳しい検疫検査を通さなければ輸出は不可能。そのために検査専門の別会社を立ち上げたり、最近では検疫基準を満たすヤードを東海エリアで立ち上げたり、と万全の体制を築いています」とパトリックさん。
植物の種や毛髪などチェック項目は多く、特にカメムシは重要で18年からは一定時期に熱処理が義務付けられたそうです。
「過去には海外からの輸出車でカメムシが発生し、現地の港湾機能がストップしたこともありました」と、その厳しさを教えてくれました。
こうした日々の諸問題に対し誠実に対応している背景には「仕入れた車両は可能な限り細かくチェックして、できるだけ良い価格で、いち早くお客様に提供する」という同社のポリシーがあります。全国各地のオークション会場にスタッフを配置し、現車を直接確認して仕入れるという原則がそのことを体現しています。「現場ではお客様と連絡を取りながら、気になる点は写真や動画を共有することで確認してもらう」ことを心掛けているそうです。
こうしたお客様に対する徹底的な品質重視の姿勢は、AISの検査に裏付けられたオークネットの中古車ビジネスと相通じるものがあります。オークネットは連携しているリアルなオークション会場も多く、「あの会場のあの車が欲しい」というお客様の要望に沿うこともできるのだとか。
また現在進行形で注目したいのは、HPのフルリニューアルを機に、オークネットの共有在庫とデーヴィージャパンのECサイトが連携すること。完成も間近だといいます。
仕向国は主要なオセアニア2カ国とアメリカ以外にも、イギリス、ジャマイカなどに広がりつつあり、特にスコットランドへの販路拡大に意欲的です。
「今後はマーケットを着実に拡大していきたい。我が社はまだまだこれからです!」とパトリックさんは熱く語ります。
オークマン2024年10月号掲載記事