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株式会社オークネット エネルギー事業本部【REAL VOICE】

EVバッテリーの劣化診断技術を武器に

エネルギー市場のプラットフォームを目指す


株式会社オークネット エネルギー事業本部



Energy Loop Terminalの本格展開を開始したオークネット。

今後、エネルギー市場にどのように関わっていくのか。その現状と展望を担当者が語ります。

 

▼目次


 

1 . リユースではなくリパーパス

 EVバッテリーの価値を創造


株式会社オークネット  エネルギー事業本部エネルギー事業戦略推進部ゼネラルマネージャー 吉田高志さん
株式会社オークネット  エネルギー事業本部エネルギー事業戦略推進部ゼネラルマネージャー 吉田高志さん

2024年12月、オークネットは使用済みEV(電動自動

車)のリチウムイオンバッテリーを活用したリパーパス製品流通プラットフォーム「Energy LoopTerminal(エナジー・ループ・ターミナル)」の予約受注を開始しました。

 近年、再利用を目的としたリユースだけでなく、廃棄されてしまう〝不要品〞に新たな目的と価値を創造して再利用する〝リパーパス〞という手法が世界的に注目を集めています。その流れの中で、これまでオークションを通じて中古車、中古デジタル機器、ブランド品など、多様な商材における循環型流通事業を展開してきたオークネットが、ついにエネルギー分野に踏み出したわけです。

 パートナーとして選んだのは、独自の技術によりEVの使用済みバッテリーの再製品化にいち早く成功した「MIRAI-LABO」という企業。劣化診断の精度を高めることこそが、EVバッテリーのリパーパスにおいて最重要課題だったと、エネルギー事業本部の吉田高志はいいます。

「EVバッテリーの劣化診断の実用化に成功した、というニュースをよく耳にしますが、多くの企業はパックでの診断しかできません。EVバッテリーの構成単位は、小さい方からセル、モジュール、パックと呼ばれています。セルは単体でバッテリーとしての機能を果たす最小単位。複数のセルを接続してケースへ収めたものがモジュールで、パックは複数のモジュールとセンサー、コントローラーを接続してケースへ収めたもののことです。つまり、パックで劣化診断を行っても、モジュールごとで見ると劣化具合はバラバラ。モジュール単位で診断できれば、精度は格段に高くなるのです。この分野においては、現在MIRAI-LABOが突出した技術力を誇っています」Energy Loop Terminalは、まさにこの技術を使って、市場にあるEVバッテリーをリパーパスするためのプラットフォーム。MIRAI-LABOは中古車市場におけるAISのような役割を果たしていると言えば、オークネット会員の皆様にはわかりやすいかもしれません。

 では、この市場の可能性について考えてみましょう。「2トンもある車体を時速100㎞以上で走らせられるEVバッテリーは、世の中に出回っているリチウムイオンバッテリーで最高水準の性能を誇ります。それなのに、EVとしての寿命が尽きれば車体と一緒に廃棄されてしまうことがほとんど。しかし、個体差はありますが、7年間で7万㎞走行したEVに搭載されたバッテリーの劣化度合いはわずか30%ほどです。最高品質のリチウムイオンバッテリーの残量がまだ70%もあるわけですから、リパーパス用の蓄電池としては十分です。また、中古EVはオークションで落札されたあと、約74%が海外輸出されてしまいます。貴重なエネルギー資源を海外流出させず、国内でリパーパスする仕組みを早急に作らなければなりません」

 現在、喫緊の課題は需要の掘り起こしです。現在はMIRAI-LABOが開発した太陽光パネル付きの自律型街路灯などにEVバッテリーを再利用することで、自治体を巻き込んだムーブ

メントを起こそうとしています。そのほかにも、蓄電池を利用した製品をリリースしている企業は、すべて有望な供給先と考えられます。





2 . EVバッテリーの先も見据え

 中古エネルギー市場を開拓


ただし、世界的に加速していたEV普及の波はこの1年で大きなブレーキがかかってしまい

ました。したがって中古EVバッテリーの供給も、数年後をピークに急激に落ち込むことが予想されます。Energy Loop Terminalでは、EVバッテリーに続くエネルギー資源として、太陽光パネルにも注目しています。

「東日本大震災を契機にメガソーラーブームが巻き起こったのが2012年。太陽光パネル自体の耐用年数は30年ほどだといわれていますが、採算が取れず事業を停止している業者もありますから、そろそろ中古の太陽光パネルが市場に出てくるはずです。MIRAI-LABOでは、すでに太陽光パネルの劣化診断の研究を進めています」

 中古EVバッテリーだけでなく、中古の太陽光バッテリーにも価値が生まれる近未来。オークネット会員の皆様は、ここにどのように関わっていくことができるのでしょう。

「EV単体ではなく、EVを発電サイクルの一環として販売することは考えられるでしょうね。例えばヤマダデンキでは、すでに三菱自動車のEVを販売しています。傘下のヤマダホームズでは、住宅に設置する太陽光パネルも販売しています。太陽光パネルで発電し、EVに蓄電し、家庭用電力を賄うだけでなく売電も行うスマートホームというサービスにEV販売が組み込まれているわけです。将来的には、中古車販売業者がこうしたビジネスを始めることも可能かもしれません。まだまだ手探り状態ですが、そんな未来を見越してEnergy Loop Terminalを大きくしていかなければなりません」




オークマン2024年3月号掲載記事


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